原子力:(げんしりょく、(英: nuclear energy)とは、原子核の変換や核反応に伴って放出される多量のエネルギーのこと[1]、またはそのエネルギーを兵器や動力源に利用すること。核エネルギー(かくエネルギー)や原子エネルギー(げんしエネルギー)ともいう[2]。単に核(かく、(英: nuclear)と呼ぶ場合には、原子力を指すことが通例である。
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原子核反応:原子核物理学における原子核反応(げんしかくはんのう、(英: nuclear reaction)または核反応とは、入射粒子[1]が標的核(原子核)と衝突して生じる現象の総称を言う[2]。大別して、吸収、核分裂、散乱[3]の三つがあるが、その反応過程は多彩で統一的に記述する理論はまだない。
核反応においては、電荷、質量数、全エネルギー、全運動量が保存される。
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オクロの天然原子炉(オクロのてんねんげんしろ)とは、ガボン共和国オートオゴウェ州オクロに存在する天然原子炉である。
天然原子炉とは、過去に自律的な核分裂反応が起こっていたことが同位体比からわかるウラン鉱床のことである。このような現象の実例は、フランスの物理学者のフランシス・ペラン(英語版)が1972年に発見した。天然原子炉が形成される可能性は、1956年にアーカンソー大学の助教授だった黒田和夫が予想している[1][2]。オクロで発見された条件は、予想された条件に極めて近かった。
天然原子炉の知られている唯一の場所はオクロに存在する3つの鉱床で、自律的な核分裂反応のあった場所が16か所見つかっている。20億年ほど前、数十万年にわたって平均で100 kW相当の出力の反応が起きていた[3][4]。
歴史
1972年5月、フランス ピエールラットのウラン濃縮施設におけるUF6の通常の質量分析で、中部アフリカ ガボンのオクロ鉱床産出のサンプルの235U同位体比に大きな差異があることが見つかった。通常の同位体比は0.7202%だが、そのサンプルは0.600%で、これは有意な差だった[5]。235U同位体が兵器に流用されていないことをはっきりさせるために何らかの説明が必要だったため、フランス原子力庁は調査を開始した。主要な同位体の相対的な比率を測定した結果、オクロのウラン鉱石中235Uの238Uに対する比率が通常のサンプルに対し0.440%低く、ほかの鉱床とは異なることが判明した。さらなる調査で、ネオジムやルテニウムなどほかの同位体比も特異であることがわかった。
235Uの減少は、原子炉で起こっていることとまったく同じである。そのため、オクロのウラン鉱床はかつて天然原子炉であったという説明が考えられた。ほかの調査も同様の結論に達したので、1972年9月25日、フランス原子力庁は、20億年前に自律的な核連鎖反応が起こっていたことを発見したと発表した。その後、同地域でほかの天然原子炉がいくつか見つかった[6]。
天然原子炉の仕組み
天然原子炉では、ウランに富んだ鉱床に地下水が染み込んで、水が中性子減速材として機能することで核分裂反応が起こる。核分裂反応による熱で地下水が沸騰して無くなると反応が減速して停止する。鉱床の温度が冷えて、短命の核分裂生成物が崩壊したあと、地下水が染み込むと、また同じサイクルを繰り返す。このような核分裂反応は、連鎖反応ができなくなるまで数十万年にわたって続いた。
ウランの核分裂では、5種類のキセノンガスの同位体が生成される。ガボンでは5種類すべての同位体が天然原子炉の痕跡から発見されている。鉱床のキセノンガスの同位体比を調べることで、20億年たった現在でも核分裂サイクルの周期を知ることができる。計算ではおよそ30分活動したあと2時間30分休止するサイクルだった[7]。
天然原子炉が臨界に達することができた理由は、天然原子炉があった当時、天然ウランの核分裂性同位体235Uの濃度が3%と、現在の原子炉とほぼ変わらなかったからである(残りの97%は核分裂性物質ではない238U)。235Uの半減期は238Uより短く、より早く崩壊してしまうので、天然ウランの現在の235Uの比は0.72%に低下していて、地球上ではもはや天然原子炉は存在しえない。
オクロ以外では天然原子炉は見つかっていない。ほかのウラン鉱床も核分裂反応を起こすのに十分なウランが含まれていたものの、ウランと水と、核反応を起こすための物理的な条件とがそろっていたのはオクロのユニークな点だったと思われる。
オクロの天然原子炉が20億年より前の時点で反応を開始しなかった理由は、おそらく大気中の酸素濃度の上昇が関連している[4]。ウランは地球の岩石中に自然に存在していて、核分裂性物質の235Uの濃度は臨界に達する前は常に3%以上だったはずである。しかし、ウランは酸素存在下でしか水に溶けない。大気中の酸素レベルが上昇するにしたがって、ウランが地下水に溶けて運ばれて、ウランが十分に濃縮された鉱床を形成したと考えられる。大気の環境がもし変化していなければ、そのような濃縮はおそらく起こり得なかった。
ウラン鉱床の中の数センチメートルから数メートル程度の天然原子炉が、およそ5トンの235Uを消費して、数百度の温度に達したと考えられている[4][8]。不揮発性の核分裂生成物とアクチノイドは、20億年間で鉱床中を数センチメートルしか移動していない[4]。放射性廃棄物の地層処分に関連して、地下水とともに放射性物質が環境中に流出する懸念について激しい議論があるが、ガボンは放射性同位体が地殻の中でどう動くかについてのケーススタディになっている[9]。
微細構造定数との関係
オクロの天然原子炉は、物理学の微細構造定数αが20億年の間に変化したかを確認することにも利用されている。これはαが核反応の速度に影響を与えることを応用している。たとえば、149Smは中性子を捕捉して150Smになるが、捕捉するレートはαに依存しているので、この2種類のサマリウム同位体の比率をオクロのサンプルで調べることで、20億年前のαの値を計算できるのである。
オクロの放射性同位体の相対濃度を調べたいくつかの研究があるが、ほとんどの研究が(全部ではない)、かつての核反応は今日と変わらなかったと結論づけている。αも変化していないと考えられる。
149Smの共鳴は、α以外に、陽子と電子の質量比μに対しても敏感である。αとμがお互いに打ち消しあう可能性があるので、否定的な結果はαとμが共に時間に対して不変であることを必ずしも意味しない[10][11]。
核分裂生成物の痕跡
Nd
鉱石中のネオジムの同位体比が、通常地球上でみられるものとは異なっていた。たとえば、通常のネオジムは142Ndを27%含むところが、オクロのネオジムは6%以下しか含んでおらず、代わりに143Ndの比率が高かった。通常のNdからオクロのNdを差し引いてみると、Ndの同位体の構成は235Uの核分裂反応で生成されるものと一致していた。
Ru
同様の調査がルテニウムの同位体比についても行われた。オクロのルテニウムは99Ruを予想より多く含んでいた(12.7%に対して27-30%)。これは99Tcが99Ruにベータ崩壊したとすると説明できる。次のグラフでは、天然のルテニウムの同位体比と、235Uが熱中性子で核分裂した結果生成されたルテニウムとを比較している。核分裂生成物の同位体比が異なることがはっきりわかる。核分裂生成物の100Ruのレベルが低い理由は、モリブデンの長寿命の同位体100Mo(半減期 = 1019年)のためである。天然原子炉が稼働していた時間を考えると、100Ruの崩壊はほとんど起こらなかった。
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1972年、アフリカ・ガボン共和国のオクロ鉱床から産出されたウラン鉱におけるウラン235の同位体比が極端に低いことが発見され、かつてガボンを植民地支配していたフランスは、「オクロのウランを秘密裏に核兵器に流用したのではないか?」という疑いがかけられたため、この疑念を払拭するべく調査を行いました。その調査によって、希土類も含めてオクロのウラン鉱床が他の鉱床とはまったく異なる組成比を構成しており、ウラン235の減少は原子炉で起こっている現象とまったく同じことから、「オクロのウラン鉱床はかつて『天然の原子炉』であった」という結論が導かれたのが「オクロの天然原子炉」で、約20億年前から30万年間もの長期間にわたって自律的な核分裂反応が自然状態で起こっていたと考えられています。
これはオクロの天然原子炉の断面図。白い部分がウラン鉱床で、黒い部分が核反応ゾーン。
なぜ自然界に「原子炉」というきわめて特殊な状態が生じたのかについて、20億年前まではウラン中に3%を超える高濃度のウラン235が存在していたことが挙げられています。なお、この値は、現代の原子炉の濃縮ウランのしきい値に近い値であるとのこと。また、ウランは酸素存在下でしか水に溶けないところ、20億年以前においては大気中の酸素濃度が十分高くなかったことが、それ以前にウランが一カ所に集まらなかった原因であると考えられています。
オクロの天然原子炉で創出されたエネルギーは平均で100kWと考えられており、この出力は中規模な太陽光発電で得られるエネルギーと大差ない量であり、原子力発電所から出力される大量のエネルギーとは比べられないほど小さいもの。ただし、オクロの天然原子炉は、太陽光発電で得られるのと同程度のエネルギーを、およそ30万年という長期間、安定的に排出していたと考えられており、絶妙なエコシステムであったと言えそうです。
なお、オクロの天然原子炉が安定的にエネルギーを創出し続けたメカニズムのカギを握るのは「水」であるとのこと。近年の原子炉では、天然ウランを利用するために中性子減速材に重水を用いる重水炉に代わって、減速材に軽水(普通の水)を使う軽水炉が主流となっています。これは高価な重水の代わりに普通の水を使えるためコストが低く抑えられることや、減速材としてだけでなく冷却剤として水を活用できるというメリットがあるためです。オクロの天然原子炉も水を減速材として用いた「軽水炉」として機能していたことが分かっています。
オクロの天然原子炉の「軽水炉メカニズム」は、ウラン鉱床に地下水が染みこんで水が中性子減速材として機能することで核分裂反応が起こるところ、核反応によって発生する熱で地下水が蒸発してしまい反応が停止、その後、ウラン鉱床の温度が低くなると再び地下水が流入して核分裂反応が起こる、というサイクルで延々と核反応が起こったというもの。つまり、核反応を起こす地下水が核反応が生じるとすぐに取り除かれ、一定時間経過後に再び核反応が起こる、という風にちょびちょびエネルギーが創出されていたというわけです。なお、核分裂は、30分間活動した後180分間休止するというサイクルであったと試算されています。
オクロの天然原子炉によって生じた核反応エネルギーは地球を焼け野原にするのに十分な量であることから、仮に同様のメカニズムで長期間・安定的にエネルギーを取り出す原子炉が作れるとすれば、大量のエネルギーが必要な人間社会にとって有益であることは火を見るよりも明らか。
科学技術が高度に発展するうちに、「自然状態よりも優れた状態を人工的に生み出せる」という錯覚を人間は持ってしまいがちですが、人類誕生のはるか大昔の地球に存在していたオクロの天然原子炉を知り、そのシステムを理解することは、危険な放射性廃棄物を地中深くに何千年もの間、保管することを余儀なくされる現在の原子力発電所の在り方を根本的に見直すよいきっかけになりそうです。
https://gigazine.net/news/20140513-oklo-natural-nuclear-reactor/
アフリカ、ガボン共和国オートオゴウェ州、オクロにあるウラン鉱床のなかには、完全に自然の力のみでできた世界最古の原子炉がある。原子力は人間が発明したもの、と思いがちだが、実はそうではない。今から20億年も前、オクロ・リアクターは、人知れず核分裂をはじめた。ウランを大量に含んだ鉱床に地下水が染み、核分裂の連鎖反応を引き起こしたのだ。
核分裂による熱で水が沸騰してなくなってしまうと、反応は減速して、やがて停止する。すると今度は、鉱床が冷えてきて、また地下水が染みこみ、核分裂がはじまる、という仕組みだ。オクロ・リアクターはこの巧妙なサイクルを、数十万年ものあいだ繰り返してきた。
1972年5月、フランス、ピエールラットのウラン濃縮施設は、オクロの鉱床を調査して、深刻な懸念を抱いた。鉱床にあると思われていたウランの濃度が、予測されていた数値と0.003% 違うことがわかったからだ。ほんのわずかな違いのように思えるが、専門家が異常に気づくのには充分だった。
彼らの脳裏にまっ先によぎったのは、なくなったウランが、どこかで核兵器の開発に使われているのではないか、という脅威だった。すぐにフランス原子力庁も調査に乗り出した。だがその年のうちに、科学者たちは意外な発見をした。ここがおそらく世界で最初の、100%天然の原子炉であったことがわかったのだ。
すべてのウラン鉱山がこのような核反応を起こすわけではない。世界中で、天然原子炉が見つかっているのは、ここオクロだけだ。
天然原子炉が発生するためには条件がある。
まず、ウランには、分裂しやすいもの(ウラン235)と分裂しにくいもの(ウラン238)があり、核分裂の連鎖反応が起こるには、少なくとも全体の3%は分裂しやすいタイプが必要だ。
また、核分裂が起きると、分裂したウラン原子から中性子が飛び出し、それが別のウラン原子に当たってまた核分裂を引き起こすのだが。このとき中性子が飛び出す速度が速すぎると、うまくウラン原子に当たらず、連鎖反応が起こりにくい。そのため、核分裂を持続させるためには減速材としての水が欠かせない。
オクロ・リアクターは、分裂しやすいウランと、水、といった条件を奇跡的に満たしていた、と考えられている。
天然原子炉は、ウラン鉱床の深さ数センチメートルから数メートルほどのところにあり、平均で100 kW相当の出力の反応を起こし、温度は数百度まで達していたという。
科学者たちは、核分裂の際に生じるキセノンガスの値を調べることで、原子炉が約 30分活動したあと2時間30分休止するというサイクルで核反応を起こしていたことまで突きとめた。
現在では、分裂しやすいウランは使いつくされ、全体の 0.7%のみで、核分裂を起こすことはない。核分裂反応のあった場所は、3つの鉱床で、16か所見つかっている。
? 【参考サイト】Wikipedia:オクロの天然原子炉
電気事業連合会:原子の構造と核分裂
Atlas Obscura:Oklo Reactor
http://minamikaiki1000.com/2017/10/06/post-1306/
多くの人々は、原子力は人類の発明であり、自然の法則に違反していると考える人もいます。しかし、原子力は実は自然発生的な現象であり、それなくして生命は存在し得ません。それは、私たちの太陽(そして他のすべての星)自体が巨大な発電所であり、熱核融合として知られるプロセスを通して太陽系を照らすからです。
しかし、人間は核分裂と呼ばれる別のプロセスによって発電し、核融合プロセスのように原子を結合するのではなく、原子を分割することによってエネルギーを放出します。しかし、私たちの種族がどんなに独創的に見えても、核分裂反応炉でさえ、母なる自然にとって古いニュースです。特異だが十分に文書化された状況で、科学者たちは、西アフリカのガボンの国ガボンの3つのウラン鉱床内に天然に存在する核分裂炉が作られたという証拠を発見した。
オルソン君は原子炉に必要な数々の機器をすべて地元のホームセンターや『eBay』(インターネットオークション)から調達。重水素核融合に自宅で成功し、2億度のプラズマを発生させた。2億度といえば太陽の中核より高温だ。
まだ高校生だった1994年に自宅の裏庭に完全自作の原子炉を製作し、稼働させたことにより周囲に深刻な放射能汚染を生じさせたDavid Charles Hahn(デビッド・チャールズ・ハーン)氏が9月27日、死去していたことが一部報道により明らかとなった。
39歳だった。
ハーン氏は、自宅の裏庭に、原理的には増速炉(Breeder reactor)の一種を製作し、旧式の時計に使用されていた発光塗料を集めて燃料として使用することで、実際に自作の原子炉の運転まで行っていた。
ハーン氏が自宅の裏庭で怪しい実験を行っていることは直ぐに、地元警察の知れ渡ることとなり、その後、Nuclear Regulatory Commission(原子力規制委員会)によって極秘裏に機器の撤去作業と除染作業が行われていた。
高校生が自宅の裏庭に原子炉を自作し、実際に稼働させていたことは、最高機密として封印されていたが、1998年にHarper's誌がスクープ記事を報じたことから、公になっていた。
死亡との因果関係は不明となるが、高校時代に行った原子炉実験によって生じた被爆の影響なども指摘されている。
原子力と自然。全く相反するように思えますが、原子力のエネルギーは自然法則に反してないんですね。
20億年前の太古の地球には、天然の原子炉が存在していました。アフリカのガボン共和国オクロ地区 のウラン鉱山にその化石を見る事ができます。この天然の原子炉は、大量で密度の濃いウラン235(U-235)が自然発生的に核分裂が行われた結果、20億年前の地球に生まれました。20億年前は、核分裂反応を起こしやすいU-235の存在比が高かったと言われています。
ちなみに核分裂連鎖反応が持続するには、自然界にあるウランの中で1%も満たないU-235が大量に必要になります。今の地球には自然発生的に核分裂反応がおこるためのU-235の存在比が無いため、自然発生的に原子炉が出来てしまう事はないそうです。
天然の原子炉の存在は、地球の成り立ちにおいて非常に重要な意義をもつだけでなく、放射性廃棄物の抑制のためにも重要なのかもしれません。
https://www.gizmodo.jp/2010/09/natural_nuclear.html